美しい朱色の橋 両界山 横蔵寺

岐阜お出かけ情報

横蔵寺の駐車場に着いた瞬間から、目の前に広がる美しく色づいている紅葉。一歩一歩、横蔵寺に近づいてくると、まず見えるのが朱色の橋です。その橋と紅葉の木々との組み合わせがとても美しく目を奪われます。

山間部にある横蔵寺の紅葉の見頃は11月頃

紅葉祭りが開催されています。11月中は日没から21時までライトアップされるなど、夕方から夜にかけての紅葉の景色を楽しむこともできます。岐阜県内では、2019年の紅葉スポット13位であり、大変人気の場所となっています。

橋を渡る際、目の前には、色づいている紅葉が広がり、橋の下に目を配れば、美しく透き通った川の水を見ることができます。さらさらと流れる川の音色が、色づいた紅葉の景色をさらに引き立ててくれます。また、川の音色だけに耳を傾けていても、毎日の慌ただしい心や気持ちを浄化してくれると感じられます。

  • 境内に入ると正面に横蔵寺の本堂、右手に三重の塔

 さらに進み、橋を渡り切ると、石垣と土塀に囲まれた境内に入ります。高く積まれた石垣には緑色の苔が生えており、白濁した土塀と紅葉の組み合わせも素敵です。があります。境内内には、紅葉の木々はそれほど植えられていないのですが、本堂も三重の塔も建設されてからの経年により、味のある木造建築の色合いを楽しむことができます。石垣や土塀に囲まれているためなのか、境内は荘厳で凛とした空気が流れており、身が引き締まる感じがします。

 境内を出て駐車場へ向かおうとする下り坂の途中にも紅葉の木々があり、到着した時と同じように美しい景色で迎えてくれます。紅葉終盤の時期であれば、その坂道が真っ赤に色づき、紅葉色のじゅうたんを歩いているような感覚を覚えます。

ミイラがある寺

 

このミイラは、約二百年前に即身成仏した、妙心法師という名前の人物であったことが分かっています。妙心法師は、横蔵寺周辺の出身者です。通常、多くのミイラは、人が死んでから他人によって手を加えられて、完成するそうですが、この横蔵寺にある物は自然にミイラ化しました。特に海外のミイラは、前者の方法であり、日本国内は後者の方法だそうです。

日本各地で壮絶な修行をし、さらに断食修行をした後に、山梨県の山に入り、そこで即身成仏しました。即身成仏とは、木の実や木の皮などを食べて命をつなぎ、経典を読みます。それらを食べることで、最も腐敗の原因となる脂肪が燃焼され、次に筋肉が糖として消費され、皮下脂肪が落ちていき水分も少なくなります。生きている間にミイラの状態に体を近づけさせます。そして、生きたまま箱に入り、その箱を土中に埋めさせ、読経をしながら成仏するのを待ちます。死後は遺体が腐敗化するため、関係者により適切な時期に掘り起こされ、保存がされる必要があります。そのため、即身成仏するのは、容易なことではなかったと考えられます。

満36歳という年齢であったため、日本で現存するミイラとしては、最も若いとされています。学術的にも大変貴重なものであり、山梨県の病院で医学資料として保管されていました。明治13年には明治天皇の目にも触れています。そして、明治23年に現在の横蔵寺に祀られたと言われています。現在、日本国内でミイラを拝観することができるところは数少なく、特に日本の最南端かつ最北端で見ることができるのは、この横蔵寺のミイラだけだそうです。

 横蔵寺のミイラの見た目は36歳と成人であったのに小さく、黒っぽい印象を受けました。また、僧侶が着る様な服を着ており、表情も見ることができました。祀られている舎利堂も新しく、整頓されており、大切にされていることから、怖いとか恐ろしいとは感じませんでした。拝観する人により、考えや感想は異なると思いますが、是非一度横蔵寺のミイラを見てほしいと思います。

 横蔵寺の舎利堂は、10時から16時まで開館しており、拝観料が大人500円、小中学生200円、幼児100円、必要となります。(舎利堂・瑠璃堂共通)

重要な文化財がある寺

 横蔵寺は、日本天台宗の宗祖の最澄が803年に建設されたと言われています。最澄は、比叡山延暦寺を建設する際に、本尊薬師如来像を自ら刻んだが、その薬師如来像を造ったのと同じ霊木から、もう1体の薬師如来像を造り、横蔵寺に祀られました。織田信長により、横蔵寺の本堂、三重の塔、仁門などは、焼失したため、現存しているものは、江戸時代に復興されました。

また、横蔵寺は「美濃の正倉院」といわれるほど、重要な文化財、絵画、書籍が保管されています。

それらは、瑠璃堂と呼ばれる宝物殿に保管されており、22体の国の重要文化財が安置されています。例えば、木造大日如来坐像、木造四天王立像、木造深沙大将立像、木造金剛力士立像などの木で作られた仏像があります。仏像はどれも丁寧に作られており、国の宝であることを感じます。国の重要文化財を間近で見ることができるお勧めの場所です。拝観時間や拝観料は、舎利堂と共通です。

自然豊かな中にある横蔵寺を訪れることで、日常の慌ただしい心や気持ちを忘れることができ、心穏やかになることと思います。是非一度、足を運んでみてください。