岐阜の寿司とミシュラン|海なし県の魚食文化と評価される名店の秘密

岐阜市

「岐阜県で美味しい寿司は食べられるの?」「ミシュランに載っている岐阜の寿司店はある?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

岐阜県は海に面していない内陸県でありながら、実は豊かな魚食文化を持つ地域です。長良川の鮎をはじめとする淡水魚の恵みに加え、近年では北陸や名古屋からの流通網の発達により、新鮮な海産物も楽しめるようになっています。

2019年に発行された「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」では、岐阜県から多くの飲食店が掲載され、その食文化の豊かさが世界的に認められました。

📝 この記事でわかること

  • 岐阜県のミシュランガイド掲載状況と寿司店の評価
  • 海なし県で寿司文化が発達した理由
  • 長良川の鮎と岐阜独自の寿司文化
  • 岐阜で美味しい魚料理を楽しむためのポイント

実は岐阜には、世界農業遺産にも認定された「清流長良川の鮎」という食文化があり、江戸時代には徳川家康にも献上されていたという歴史があります。この記事では、岐阜の寿司文化とミシュラン評価について詳しく解説していきます。

目次

岐阜県とミシュランガイドの関係

ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版とは

ミシュランガイドは、フランスのタイヤメーカー・ミシュラン社が発行する世界的に権威あるレストランガイドです。日本では2007年の東京版から始まり、その後各地域版が発行されてきました。東海地方では2019年5月17日に初めて「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」が発売されました。

この東海版は、愛知県・岐阜県・三重県の3県を対象とした初の調査であり、地元の飲食業界から大きな注目を集めました。ミシュランの調査員が匿名で各店を訪問し、料理の質、技術、食材、味付けの調和、創造性、コストパフォーマンス、一貫性などの基準で評価を行っています。

東海版の発行により、これまで東京や京都、大阪などに比べて注目度が低かった東海地方の食文化が、世界的な視点で再評価されることとなりました。岐阜県においても、飛騨高山の郷土料理や長良川流域の川魚料理など、独自の食文化が高く評価されています。

岐阜県の掲載店舗数と評価の特徴

ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版において、岐阜県からは飲食店92軒宿泊施設25軒が掲載されました。この数字は、東海3県の中では最も少ないものの、人口や面積を考慮すると決して少なくない数字といえます。

岐阜県の掲載店の特徴として、日本料理や郷土料理のジャンルで高い評価を受けている点が挙げられます。飛騨牛を使った料理や、長良川の鮎料理、山菜を活かした懐石料理など、地元の食材を活かした店舗が多く選ばれています。

💡 知って得する豆知識
ミシュランガイドの星の数は、「その店の料理を食べるためだけに旅行する価値があるかどうか」を基準に評価されています。1つ星は「近くに訪れたら行く価値のある優れた料理」、2つ星は「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」、3つ星は「そのために旅行する価値のある卓越した料理」という意味があります。

岐阜県で星を獲得した店舗のジャンル傾向

岐阜県でミシュランの星を獲得した店舗は、2つ星が3店舗、1つ星が8店舗の計11店舗でした。残念ながら3つ星を獲得した店舗はありませんでしたが、2つ星店舗数は東海3県の中でも健闘した結果となっています。

2つ星を獲得した店舗としては、飛騨高山の「柳家」「料亭 洲さき」など、伝統的な日本料理を提供する名店が名を連ねています。これらの店舗では、飛騨地方の山の幸を活かした料理が高く評価されました。また、中華料理の「小菜中華hiro」も2つ星を獲得しており、ジャンルを問わず優れた料理が評価されていることがわかります。

1つ星店舗においても、日本料理や割烹料理のジャンルが目立ちます。蕎麦の名店「仲佐」(下呂市)なども星を獲得しており、岐阜県の食文化の多様性が示されています。

寿司カテゴリーでの岐阜県の評価状況

ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版において、岐阜県内の寿司店で星を獲得した店舗は確認されていません。東海3県全体で見ると、三つ星の寿司店として三重県の「こま田」と愛知県の「右江田」が選ばれていますが、岐阜県からの寿司店の星獲得はありませんでした。

これは岐阜県の寿司のレベルが低いということではなく、海に面していない内陸県という地理的条件や、岐阜県の食文化において日本料理や郷土料理が特に発達してきた歴史的背景が影響していると考えられます。岐阜県では、海の幸よりも川魚や山菜を活かした料理が伝統的に発展してきたため、ミシュラン調査においてもそれらのジャンルで評価が集中したと推測されます。

ただし、ミシュランプレートやビブグルマンには、魚介類を扱う店舗も含まれており、岐阜県でも質の高い寿司や海鮮料理を楽しめる店舗は存在しています。

東海版ミシュランの今後と岐阜の可能性

ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版は「特別版」として発行されたもので、毎年更新される通常版とは異なります。そのため、2019年以降の岐阜県を対象とした新しいミシュランガイドは発行されていません。ただし、今後東海版が定期的に発行される可能性もあり、岐阜県の飲食店にとっては引き続き注目すべき指標となっています。

近年、岐阜県では若手料理人の活躍や、地元食材を活かした新しいスタイルの料理店が増加しています。寿司においても、長良川の鮎を使った創作寿司や、北陸から仕入れた新鮮な魚介を提供する店舗が注目を集めており、将来的にミシュランの星を獲得する寿司店が誕生する可能性も十分にあるといえるでしょう。

海なし県・岐阜で寿司が楽しめる理由

岐阜市

内陸県ながら発達した魚食文化の歴史

岐阜県は日本の中央に位置する内陸県であり、海に面していません。しかし、だからといって魚を食べる文化がなかったわけではありません。むしろ、川魚を中心とした独自の魚食文化が古くから発達してきました。

岐阜県内を流れる長良川、木曽川、揖斐川の「木曽三川」は、古来より豊富な淡水魚をもたらしてきました。特に長良川の鮎は「日本一の鮎」とも称され、平安時代から朝廷への献上品として珍重されてきた歴史があります。また、鯉、鮒、うなぎなども重要な食材として利用されてきました。

江戸時代には、飛騨高山と富山を結ぶ越中東街道(飛騨街道)を通じて、日本海の海産物が内陸部にももたらされるようになりました。「飛騨ぶり」と呼ばれる塩漬けの鰤は、正月料理には欠かせない食材として定着し、海なし県でありながら海の幸を楽しむ文化が形成されていったのです。

長良川と木曽川がもたらす淡水魚の恵み

長良川は全長166キロメートルの清流で、本流にダムがないという全国的にも珍しい川です。このため、川底には常に新鮮な藻が生え、それを食べる鮎は格別な味わいを持つとされています。長良川の鮎は「清流長良川の鮎」として2015年に世界農業遺産に認定されており、その食文化は世界的にも高く評価されています。

木曽川流域でも、鮎やうなぎなどの淡水魚が豊富に獲れます。特にうなぎは、関市や美濃加茂市などで専門店が多く、岐阜県のうなぎ消費量は全国的にも高い水準にあります。これらの淡水魚を使った料理は、岐阜県の食文化の根幹を成しており、寿司においても鮎寿司や川魚を使った握りなど、独自のスタイルが発展してきました。

📜 歴史メモ

長良川の鵜飼は1300年以上の歴史を持つ伝統漁法で、織田信長や徳川家康も保護したことで知られています。鵜飼で獲れた鮎は「鵜飼鮎」と呼ばれ、鵜の食道で一瞬にして絶命するため鮮度が保たれ、最高級品として珍重されてきました。

近代以降の流通革命と新鮮な海産物

明治時代以降、鉄道網の発達により、岐阜県にも新鮮な海産物が届くようになりました。特に東海道本線の開通は大きな転機となり、名古屋や静岡方面からの海産物流通が活発化しました。さらに昭和に入ると、高速道路網の整備により、日本海側の富山県や石川県からも短時間で鮮魚が運ばれるようになります。

現在では、冷蔵・冷凍技術の発達と物流網の高度化により、岐阜県でも東京や大阪と遜色ない鮮度の海産物を入手することが可能になっています。築地市場(現・豊洲市場)や北陸の漁港から直送される魚介類を使った寿司店も増加しており、「海なし県だから寿司が食べられない」という時代は過去のものとなりました。

北陸や名古屋からの仕入れルート

岐阜県の寿司店や鮮魚店の多くは、富山県や石川県の北陸ルート名古屋の中央卸売市場ルートの2つの主要な仕入れ経路を持っています。北陸ルートでは、氷見港や金沢港から新鮮な日本海の魚介類が届きます。特に冬場のブリや甘海老、紅ズワイガニなどは、北陸から直接仕入れることで高い鮮度を維持しています。

一方、名古屋中央卸売市場は全国から多種多様な魚介類が集まる拠点であり、岐阜県内の多くの飲食店がここから仕入れを行っています。マグロやサーモンなどの人気ネタから、季節の珍しい魚介まで、幅広い品揃えが可能となっています。

このように複数の仕入れルートを持つことで、岐阜県の寿司店は安定した品質と多様なネタを提供できる体制を整えています。

岐阜独自の寿司スタイルの発展

岐阜県では、海の幸だけでなく川魚や地元食材を活かした独自の寿司スタイルが発展してきました。代表的なものが「鮎寿司」で、新鮮な鮎を酢で締めて握りにしたり、箱寿司として提供したりする方法があります。また、「鮎なれ寿司」は発酵させた保存食として古くから親しまれてきた郷土料理です。

飛騨地方では、山菜や川魚を使った「飛騨寿司」とも呼べる創作寿司が見られます。ニジマスや岩魚を使った握りや、飛騨牛を炙りで仕上げた肉寿司なども人気があります。このように、岐阜県では「海がないからこそ」の工夫と創造性により、他県にはない独自の寿司文化が形成されてきたのです。

長良川の鮎と岐阜の寿司文化

世界農業遺産「清流長良川の鮎」とは

2015年12月、長良川上中流域の里川における鮎漁と食文化のシステムが、世界農業遺産(GIAHS)に認定されました。これは「清流長良川の鮎」として、鮎を育む清流環境と、それを守り活用してきた人々の営みが世界的に評価されたものです。

世界農業遺産とは、国連食糧農業機関(FAO)が認定する制度で、伝統的な農林水産業と、それによって形成された景観や生物多様性を保全することを目的としています。日本国内では、「能登の里山里海」「静岡の茶草場農法」などが認定されており、「清流長良川の鮎」はその一つに名を連ねています。

この認定により、長良川の鮎は単なる食材としてだけでなく、持続可能な食文化のシンボルとして注目されるようになりました。鮎を守るための環境保全活動や、伝統的な漁法の継承、鮎料理の普及など、さまざまな取り組みが行われています。

鮎が「香魚」と呼ばれる理由

鮎は別名「香魚(こうぎょ)」とも呼ばれます。これは、新鮮な鮎から漂う独特の芳香に由来しています。よく「スイカの香り」や「キュウリの香り」と表現されるこの香りは、鮎が食べる川底の藻類に含まれる成分によるものです。

鮎は「縄張り」を持つ魚として知られており、自分の縄張り内の石に付着した藻を独占的に食べます。このため、水質が良く良質な藻が生える川で育った鮎ほど、香りが良いとされています。長良川は本流にダムがなく、増水のたびに川底が洗われて新鮮な藻が生えるため、特に香り高い鮎が育つのです。

💡 知って得する豆知識
鮎の香りは鮮度に大きく左右されます。獲れたての鮎は香り高いですが、時間が経つにつれて香りは薄れていきます。そのため、鵜飼で獲れた鮎は「鵜の食道で一瞬にして絶命し、傷つかないまま獲れる」ことから、最も香りが良いとされています。

長良川の水質と鮎の味わいの関係

「鮎は水が命」という言葉があるように、鮎の味わいは育つ川の水質に大きく左右されます。長良川は全国有数の清流として知られ、環境省の「名水百選」にも選ばれています。川底まで見通せるほど澄んだ水は、良質な藻を育て、それを食べる鮎に最高の味わいをもたらします。

長良川の水質が良い理由の一つが、本流にダムがないことです。ダムがないため、増水時には川底の古い藻が流され、常に新鮮な藻が生える環境が維持されています。また、周辺の森林が健全に保たれていることで、栄養豊富な水が川に供給されています。

このような環境で育った長良川の鮎は、雑味がなくスッキリとした旨味が特徴です。身は引き締まっており、適度な脂が乗りながらも後味はさっぱりとしています。寿司にした際にも、この上品な味わいが活きてきます。

鮎なれ寿司の歴史と製法

鮎なれ寿司」は、岐阜県に古くから伝わる発酵食品です。もともとは鮎を長期保存するための方法として発達しました。塩漬けにした鮎の腹にご飯を詰め、杉樽の中で約1年かけて発酵させる製法で、「鮨」の原型ともいわれる古い形態の寿司です。

鮎なれ寿司の特徴は、発酵による独特の風味にあります。滋賀県の「鮒ずし」と似た製法ですが、鮎を使うことでよりまろやかで食べやすい味わいに仕上がります。鮎の内臓から出る旨味成分が発酵過程で増幅され、深いコクと酸味のバランスが絶妙な一品となります。

現在でも長良川流域の一部地域では、伝統的な製法で鮎なれ寿司が作られています。地元の祭りや行事の際に振る舞われることも多く、岐阜の食文化を象徴する料理の一つとして受け継がれています。

徳川家康も愛した岐阜の鮎鮨

岐阜の鮎鮨は、戦国時代から江戸時代にかけて、権力者たちに愛された高級食材でした。特に徳川家康は長良川の鮎を好み、江戸に鮎鮨を届けさせていたという記録が残っています。当時は冷蔵技術がなかったため、酢で締めた「鮎鮨」の形で運ばれていました。

織田信長も岐阜に居城を構えていた時代、長良川の鵜飼を保護し、鮎を楽しんでいたとされています。信長は鵜飼を「鵜匠」として制度化し、その伝統は現在の宮内庁式部職鵜匠にまで続いています。

時代 人物 鮎との関わり
戦国時代 織田信長 長良川鵜飼を保護、鵜匠制度を確立
江戸時代 徳川家康 鮎鮨を江戸に取り寄せ、岐阜の鮎を愛好
江戸時代 松尾芭蕉 「おもしろうてやがて悲しき鵜飼かな」の句を詠む

ミシュランガイド岐阜2019の掲載店傾向

2つ星を獲得した岐阜の名店

ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版において、岐阜県から2つ星を獲得したのは3店舗でした。2つ星は「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」を意味し、まさに岐阜を代表する名店として認定されたことになります。

2つ星店舗の多くは、飛騨地方の食材を活かした日本料理店です。「柳家」「料亭 洲さき」などは、飛騨牛や山菜、川魚など地元の恵みを最大限に活かした料理で高い評価を受けました。また、中華料理の「小菜中華hiro」も2つ星を獲得しており、ジャンルを問わず優れた料理が評価されていることがわかります。

これらの店舗に共通しているのは、地元食材へのこだわり伝統的な技術の継承です。派手な演出よりも、素材の持ち味を活かした丁寧な調理が、ミシュラン調査員の心を捉えたといえるでしょう。

1つ星店の特徴と料理ジャンル

岐阜県で1つ星を獲得したのは8店舗でした。1つ星は「近くに訪れたら行く価値のある優れた料理」を意味し、その地域を代表する実力店として認められたことになります。

1つ星店舗のジャンルを見ると、日本料理・割烹が最も多く、次いで蕎麦、フレンチなどが続きます。特に注目されるのが下呂市の蕎麦店「仲佐」で、地元産のそば粉を使った手打ち蕎麦が高く評価されました。蕎麦というシンプルな料理でミシュランの星を獲得したことは、素材と技術の両方が優れていることの証明といえます。

また、郡上八幡エリアのフレンチレストランなども1つ星を獲得しており、岐阜県の食のレベルの高さが示されています。和食だけでなく洋食においても、地元食材を活かした創作料理が評価されているのです。

ビブグルマン掲載店の傾向

ビブグルマンは「価格以上の満足感が得られる料理」を提供する店舗に与えられる評価で、5,000円以下で良質な食事を楽しめることが条件となっています。岐阜県では12店舗がビブグルマンに選ばれました。

ビブグルマン掲載店の傾向としては、地元に根付いた実力店が多いことが挙げられます。岐阜市の居酒屋や焼き鳥店、大垣のイタリアン、高山の割烹など、地元の人々に長年愛されてきた店舗が選ばれています。

🏆 星付き店舗

2つ星:3店舗
1つ星:8店舗
計11店舗が星を獲得

🍽️ ビブグルマン

12店舗が選出
5,000円以下で
価格以上の満足感

ミシュランプレート掲載店について

ミシュランプレートは、「ミシュランの基準を満たした料理」を提供する店舗に与えられる評価です。星やビブグルマンほど知名度は高くありませんが、ミシュランが「おすすめできる店」として認定した証となります。岐阜県では68店舗がミシュランプレートに選ばれました。

この68店舗には、寿司店や海鮮料理店も含まれています。星こそ獲得していないものの、ミシュランの調査基準を満たす質の高い店舗として認められているのです。岐阜県で寿司を楽しむ際には、このミシュランプレート掲載店を参考にするのも一つの方法といえるでしょう。

ミシュランプレート掲載店は、日本料理、フレンチ、イタリアン、中華、寿司、うなぎ、蕎麦など多様なジャンルにわたっており、岐阜県の飲食店の層の厚さを示しています。

岐阜のミシュラン評価の傾向分析

岐阜県のミシュラン評価を分析すると、いくつかの特徴が見えてきます。まず、日本料理・郷土料理の評価が高い点です。飛騨牛、川魚、山菜など、岐阜ならではの食材を活かした料理が高く評価されています。

次に、都市部よりも地方の名店が健闘している点も特徴的です。岐阜市だけでなく、高山市、下呂市、郡上市など、県内各地から掲載店が選ばれています。これは、観光地としての魅力と食の魅力が結びついていることを示しています。

一方で、寿司や海鮮料理のジャンルでの星獲得がなかったことは、今後の課題ともいえます。ただし、これは岐阜県の食文化の特性を反映したものであり、川魚や山の幸を中心とした岐阜の食の魅力は、別の形で評価されているといえるでしょう。

岐阜の寿司・鮮魚料理の特徴

淡水魚を活かした独自の握り

岐阜県の寿司店では、海の魚だけでなく淡水魚を使った独自の握りを提供している店舗があります。代表的なのが鮎を使った握りで、新鮮な鮎を酢締めにして、シャリと合わせます。鮎特有の香りとさっぱりとした味わいが、酢飯との相性抜群です。

また、ニジマスや岩魚などの川魚を使った握りも見られます。これらは一般的な寿司店では珍しいネタであり、岐阜ならではの体験ができます。淡水魚は海の魚に比べて脂が軽く、あっさりとした味わいが特徴で、何貫でも食べられると好評です。

さらに、長良川で獲れる天然うなぎを使った寿司も、一部の店舗で提供されています。養殖うなぎとは異なる野性味のある味わいが楽しめ、通好みの一品となっています。

飛騨地方の川魚料理との融合

飛騨地方では、古くから川魚料理が発達してきました。飛騨川や宮川などの清流で獲れる魚を使った料理は、地元の郷土料理として親しまれています。この伝統的な川魚料理と、寿司という形式が融合することで、飛騨ならではの寿司スタイルが生まれています。

例えば、岩魚の姿寿司は、川魚を丸ごと使った贅沢な一品です。酢で締めた岩魚にシャリを詰め、そのままの姿で提供されます。見た目のインパクトと、川魚ならではの繊細な味わいが楽しめます。

また、山菜と組み合わせた寿司も飛騨地方の特徴です。わらびやこごみなどの山菜を添えることで、山里の恵みを一皿で味わえる構成になっています。

鮎の塩焼きから握りまでの変遷

岐阜県における鮎料理の定番といえば、まず塩焼きが挙げられます。串に刺して炭火でじっくり焼き上げる塩焼きは、鮎の香りを最大限に引き出す調理法として長年親しまれてきました。鵜飼観覧の際に提供される鮎の塩焼きは、岐阜観光の醍醐味の一つとなっています。

この塩焼き文化から発展して、現在では鮎を使ったさまざまな寿司スタイルが生まれています。生の鮎を薄く切って握る刺身寿司、酢で締めた鮎を使う締め寿司、軽く炙った焼き鮎を使う炙り寿司など、調理法によって異なる味わいを楽しめます。

近年では、若手の寿司職人が鮎を使った創作寿司を提供する店舗も増えており、伝統と革新が共存する岐阜の鮎料理文化が形成されています。

海なし県ならではの工夫と技術

海に面していない岐阜県の寿司店では、鮮度管理と仕入れに特別な工夫が凝らされています。海沿いの寿司店であれば地元の漁港から直接仕入れることができますが、岐阜県では北陸や名古屋から魚を運ぶ必要があります。このため、信頼できる仕入れ先との関係構築や、温度管理の徹底など、より高度な管理体制が求められます。

この「ハンデ」を逆手に取り、全国各地から最高の魚を厳選して仕入れるスタイルの寿司店も増えています。海沿いの店舗では地元の魚が中心になりがちですが、岐阜の店舗では産地にこだわらず最高の状態の魚を選べるというメリットもあるのです。

また、川魚という海の寿司店にはない「武器」を持っていることも、岐阜の寿司店の強みといえます。海の魚と川の魚を組み合わせたコースなど、他県では味わえない体験を提供できるのです。

地元食材を活かした創作寿司

岐阜県の寿司店では、魚介類以外の地元食材を活かした創作寿司も人気を集めています。代表的なのが飛騨牛を使った肉寿司で、炙った飛騨牛をシャリに乗せ、特製のタレや塩でいただきます。とろけるような脂の甘みと、酢飯の酸味の組み合わせが絶妙です。

また、朴葉味噌を使った創作寿司も見られます。朴葉味噌は飛騨地方の郷土料理で、朴の葉の上で味噌を焼く料理ですが、この風味を寿司に取り入れた創作料理が生まれています。

野菜を使った寿司も岐阜らしい創作として注目されています。飛騨地方の在来野菜や、美濃地方の伝統野菜を使った寿司は、ヘルシー志向の方にも人気があります。

ミシュラン以外の岐阜グルメガイド

ゴ・エ・ミヨ岐阜の評価基準と掲載店

ミシュランガイドと並ぶ世界的なレストランガイドとして、「ゴ・エ・ミヨ」があります。フランス発祥のこのガイドは、20点満点の点数制で料理を評価し、「トック」と呼ばれる帽子マークで格付けを行います。日本版は2017年から発行されており、岐阜県の飲食店も多数掲載されています。

ゴ・エ・ミヨの評価基準は、ミシュランとは若干異なります。料理の創造性や独自性をより重視する傾向があり、伝統的な料理だけでなく革新的な料理も高く評価されます。また、若手シェフの発掘にも力を入れており、新進気鋭の料理人が注目されることも多いです。

岐阜県では、ゴ・エ・ミヨ2024で複数の店舗が掲載されており、ミシュランとは異なる視点で岐阜の食文化が評価されています。

食べログ百名店と岐阜の関係

国内最大級のグルメサイト「食べログ」では、毎年「百名店」を発表しています。これは、ユーザーの評価をもとに各ジャンルのトップ100店舗を選出するもので、寿司、ラーメン、カレーなどジャンル別に発表されます。

岐阜県からも、各ジャンルで百名店に選ばれる店舗があります。特に蕎麦やうなぎのジャンルでは、岐阜県の店舗が高く評価されています。食べログの評価は、実際に訪れたユーザーの口コミをもとにしているため、地元の人々に支持されている店舗が選ばれる傾向にあります。

寿司百名店においては、岐阜県からの選出は限られていますが、今後の発展が期待されています。

じゃらんや一休などの評価サイト

旅行予約サイトの「じゃらんnet」や、高級レストラン予約サイトの「一休.comレストラン」なども、岐阜県の飲食店情報を探す際に役立ちます。これらのサイトでは、ユーザーレビューをもとにしたランキングや、予約可能な店舗の一覧を確認できます。

じゃらんnetでは、岐阜市の寿司ランキングや、飛騨高山のグルメランキングなどが公開されており、観光客の視点からの評価を知ることができます。一休.comレストランでは、高級寿司店や割烹の予約が可能で、コース内容や価格帯も事前に確認できます。

これらのサイトは、ミシュランやゴ・エ・ミヨとは異なる視点での情報を提供しており、目的に応じて使い分けることで、より自分に合った店舗を見つけることができます。

地元メディアによるおすすめ情報

岐阜県には、地元の飲食店情報を発信するメディアがいくつかあります。「ほぼぎふ」などのローカルウェブメディアでは、新店情報やおすすめ店の特集が定期的に掲載されており、地元ならではの視点で情報を得ることができます。

また、岐阜県観光連盟が運営する「岐阜の旅ガイド」では、観光情報とともに地元グルメの情報も発信されています。鮎料理の名店や、飛騨牛が楽しめる店舗など、観光客向けの情報が充実しています。

地元のフリーペーパーやタウン情報誌も、飲食店情報の宝庫です。「月刊ぷらざ」などの地域情報誌では、地元の人々が日常的に利用する店舗が紹介されており、観光ガイドとは異なる情報を得ることができます。

グルメガイドの上手な活用法

複数のグルメガイドや評価サイトを上手に組み合わせて活用することで、より自分の好みに合った店舗を見つけることができます。ミシュランやゴ・エ・ミヨは、プロの調査員による客観的な評価として参考になります。一方、食べログやGoogleマップの口コミは、実際に訪れた人々の生の声を知ることができます。

目的に応じた使い分けも重要です。特別な日のディナーであれば、ミシュラン星付き店やゴ・エ・ミヨ高評価店を参考にするのが良いでしょう。日常的なランチであれば、ビブグルマン掲載店や食べログの口コミを参考にすると、コストパフォーマンスの高い店舗を見つけやすいです。

📝 グルメガイド活用のポイント

  • 特別な日 → ミシュラン星付き、ゴ・エ・ミヨ高評価店
  • コスパ重視 → ビブグルマン、食べログ高評価店
  • 地元の味 → 地元メディア、口コミサイト
  • 観光目的 → 観光協会推薦店、じゃらんランキング

岐阜で寿司を楽しむ際のポイント

鮎の旬と寿司の楽しみ方

岐阜で鮎を使った寿司を楽しむなら、旬の時期を知っておくことが大切です。鮎の旬は一般的に6月から9月とされていますが、時期によって味わいが異なります。

6月頃の「若鮎」は、12〜15センチほどの小ぶりなサイズで、身が柔らかく繊細な味わいが特徴です。7月から8月にかけては、20センチほどに成長し、最も脂が乗った状態となります。この時期の鮎は「香魚」の名にふさわしい芳香を放ちます。9月以降は「落ち鮎」と呼ばれ、卵を持った子持ち鮎が楽しめます。

長良川の鵜飼は5月11日から10月15日まで行われており、この期間中は特に新鮮な鮎が楽しめる時期といえます。寿司店でも、この時期には鮎を使った特別メニューを提供することが多いです。

予約が必要な名店の特徴

岐阜県の人気寿司店や高級店では、事前予約が必要な場合が多いです。特にミシュラン掲載店やゴ・エ・ミヨ掲載店は、予約が取りにくいことで知られています。

予約が必要な店舗の特徴として、カウンター席のみの小規模店舗であること、おまかせコースのみの提供であること、一日の組数を限定していることなどが挙げられます。これらの店舗では、事前に仕入れを行い、来店客に合わせた最高の状態で料理を提供するため、予約制を採用しています。

予約は1ヶ月前から受け付ける店舗が多いですが、人気店では数ヶ月先まで埋まっていることもあります。電話予約が基本ですが、最近では一休.comレストランなどのオンライン予約に対応している店舗も増えています。

カウンター寿司と回転寿司の違い

岐阜県には、高級なカウンター寿司店から気軽に入れる回転寿司店まで、さまざまなスタイルの寿司店があります。それぞれの特徴を理解して、シーンに応じて選ぶことが大切です。

カウンター寿司の魅力は、職人の技を目の前で見られることと、握りたてを最高の状態で食べられることにあります。おまかせコースでは、その日の最良のネタを職人が選んで提供してくれるため、旬の味を存分に楽しめます。価格帯は1万円以上のことが多いですが、特別な日の食事として満足度は高いです。

一方、回転寿司は気軽に好きなネタを好きなだけ食べられることが魅力です。岐阜県内にも全国チェーンから地元チェーンまでさまざまな回転寿司店があり、ファミリーや友人同士での食事に適しています。近年は回転寿司でも品質の高い店舗が増えており、コストパフォーマンス重視の方にはおすすめです。

価格帯別の選び方

岐阜県で寿司を楽しむ際の価格帯別の選び方を整理しておきましょう。

価格帯 特徴 おすすめシーン
〜2,000円 回転寿司、テイクアウト寿司 日常の食事、ファミリー
3,000〜5,000円 街の寿司店、ランチコース ちょっとした贅沢、友人との食事
8,000〜15,000円 本格カウンター寿司、おまかせコース 記念日、接待、特別な日
20,000円〜 高級店、ミシュラン掲載店 最高級の体験を求める方

地元の人がおすすめするエリア

岐阜県で寿司を楽しむなら、いくつかのエリアが特におすすめです。岐阜市内では、JR岐阜駅周辺や柳ヶ瀬商店街周辺に飲食店が集中しており、寿司店も多数あります。地元の人々に長年愛される老舗から、若い職人が営む新店まで、さまざまなタイプの店舗が見つかります。

飛騨高山エリアでは、古い町並み周辺に飲食店が集まっています。観光客向けの店舗が多い一方で、地元の人々が通う隠れた名店も存在します。飛騨牛と寿司を両方楽しめる店舗もあり、飛騨の食を満喫できます。

大垣市や各務原市など、岐阜市以外の都市にも良質な寿司店があります。これらのエリアは岐阜市に比べて観光客が少なく、地元価格で楽しめる店舗が多いのが特徴です。

よくある質問

Q. 岐阜でミシュラン星付き寿司店はある?
A. ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版において、岐阜県内の寿司店で星を獲得した店舗は確認されていません。ただし、ミシュランプレートには寿司店も含まれており、質の高い寿司を提供する店舗は存在しています。岐阜県では、日本料理や郷土料理のジャンルで星を獲得した店舗が多いのが特徴です。
Q. 岐阜の寿司と名古屋の寿司の違いは?
A. 岐阜の寿司の特徴は、長良川の鮎など淡水魚を使った独自のスタイルがあることです。名古屋は中央卸売市場があり、全国から多様な魚介類が集まるため、海の魚を中心とした寿司が一般的です。岐阜では、川魚と海の魚の両方を楽しめる店舗もあり、独自の食文化を体験できます。
Q. 鮎の寿司はいつ食べられる?
A. 鮎の旬は6月から9月頃で、この時期に新鮮な鮎を使った寿司が楽しめます。6月は若鮎、7〜8月は最も脂が乗った成魚、9月以降は子持ち鮎と、時期によって異なる味わいを楽しめます。鮎なれ寿司などの保存食は、通年で提供している店舗もあります。
Q. 岐阜で海鮮を楽しむならどこ?
A. 岐阜市内であれば、JR岐阜駅周辺や柳ヶ瀬エリアに海鮮料理店や寿司店が集中しています。大垣市にも良質な海鮮料理店があります。北陸から仕入れた新鮮な魚介を提供する店舗も多く、海なし県でありながら質の高い海鮮を楽しむことができます。

まとめ

📌 この記事のポイント

✓ ミシュランガイド岐阜2019で星を獲得した寿司店はないが、日本料理・郷土料理で高評価

✓ 岐阜県では計11店舗が星を獲得(2つ星3店、1つ星8店)

✓ 海なし県ながら、長良川の鮎など独自の魚食文化が発達

✓ 「清流長良川の鮎」は世界農業遺産に認定された食文化

✓ 北陸や名古屋からの流通網で新鮮な海産物も入手可能

✓ 鮎の旬は6〜9月、時期によって異なる味わいを楽しめる

岐阜県は海に面していない内陸県でありながら、長良川の鮎を中心とした独自の魚食文化を持つ地域です。ミシュランガイドでは寿司店の星獲得こそありませんでしたが、日本料理や郷土料理のジャンルで高い評価を受けており、岐阜の食文化の豊かさが世界的に認められています。

「清流長良川の鮎」は世界農業遺産にも認定されており、江戸時代には徳川家康にも献上されていた歴史ある食材です。鮎を使った寿司や、川魚を活かした独自の握りは、岐阜ならではの体験といえるでしょう。

また、近年では北陸や名古屋からの流通網の発達により、新鮮な海産物も楽しめるようになっています。海の幸と川の幸の両方を味わえるのは、岐阜ならではの魅力です。

岐阜を訪れる際には、ぜひ地元の食文化を体験してみてください。ミシュラン掲載店でなくても、質の高い寿司や魚料理を提供する店舗は数多くあります。鮎の旬の時期であれば、その芳香と繊細な味わいは格別です。岐阜の「なぜ?」がわかれば、食事がより一層楽しくなることでしょう。

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岐阜ナビ編集部は、岐阜の地名・言葉・文化・観光地に関する「なぜ?」を、調べ物ベースでわかりやすくまとめる情報サイトです。体験談や感想ではなく、意味や背景を丁寧に解説することを大切にしています。岐阜について知りたい方の疑問を、1ページで解決することを目指しています。

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